「インターンシップ」を実施することで、企業はより効率的に採用活動を進めることができます。インターンシップ開催にはそんなメリットがある一方で、コストがかかるというデメリットがある点は否めません。インターンシップの費用対効果を考えるにあたって、実施費用の話は重要です。本記事では、インターンシップの実施に必要な費用について解説します。
インターンシップの重要性についておさらい
インターンシップを実施することのメリットには、採用のミスマッチを減らすことや就職活動の早期化に対応することなどがあります。
すでにインターンシップを実施する企業は「早期離職をする新入社員を減らし、採用コストが無駄になってしまうことを避けたい」「優秀な人材をいち早く確保したい」などの目的意識を持っています。そのほかインターンシップのメリットについて詳しく知りたい方は「インターンシップの企業側メリット」を参考にしてください。
とはいえ、インターンシップを実施するにあたっての費用感がわからなければ、企業としても実施しづらいでしょう。
とくに、今までインターンシップを実施したことがない企業にとっては、参考になる前例がないわけですから、余計にわからないはずです。そんな企業の担当者の方は、ぜひ本記事を最後まで読んでいただき、インターンシップを実施するためにどの程度の費用を投じる必要があるのかを見極めるための知識を深めてください。
インターンシップ導入にかかる費用、相場
手法や実施期間によってさまざまなタイプのインターンシップが存在します。中でもコストがかかるとされている「長期型インターンシップ」であれば、
参加する学生1人あたりにつき「月20万円」程度の費用が発生すると考えた方が良いでしょう。
この項目では、具体的にどのような内容で費用が発生するのかについて解説します。
内部コスト
「内部コスト」は、主に「人」に対して発生する費用です。
- 学生への給与(有給の場合のみ)
- 学生の交通費、宿泊費
- 保険料、手当て
- 担当スタッフの人件費(企画、運営)
- その他経費(文房具、飲料水など)
とくに長期型のインターンシップでは「就業型」といって、実際に働いてもらうことで双方の理解を深めるタイプのインターンシップが実施されることが多いです。これには参加学生の給与などで費用が発生します。
外部コスト
「外部コスト」は、主に「もの」に対して発生する費用です。
- 広告求人費、募集費用
- 会場費
- 会社案内のパンフレット制作費
自社オフィス内で開催する場合であれば別ですが、参加人数などの関係で外部の施設を使用するためには、当然ながら利用料が発生します。
また、インターンシップについての宣伝費用など「規模が大きくなるほど高額になりやすい費用」が多い点が特徴です。
インターンシップの費用対効果
先ほど、1人あたり月20万円程度かかると解説しました。「それは妥当なのか?」と思われる方は多いでしょう。
企業の一般的な採用コストは、1人あたり50〜70万円ほどかかるとされています。
そのため「採用につながるようなインターンシップ」であれば、費用対効果は高くなるはずです。また定着率も良好であるため、採用後の早期離職による採用コストのムダを回避できます。
また、就業型のケースでは実際に学生に業務を行ってもらうため、採用コストという考え方だけでなく、会社の事業に対する人件費、入社後の育成コストの代替と考えることもできます。
インターンシップ費用の内訳詳細
次に、インターンシップでかかる費用をさらに深堀してみます。
広告求人費
「広告求人費」には、大きく分けて2つのタイプが存在します。
- 広告掲載型
- 成果報酬型
広告掲載型であれば3万~30万円程度かかります。
成果報酬型の場合は募集をかける学生の属性により費用相場が異なり、一般的に文系よりも理系学生のほうが費用が高額になる傾向です。
学生への給与
就業型などのインターンシップでは、学生への「給与」が費用として発生します。
- 時給:1,000円〜
- 日給:5,000円〜
有給型のインターンシップでは、参加した学生に給与を支払います。時給または日給形式が一般的であり、時給であれば1,000円/時、日給であれば5,000円/日が相場です。そのほか、企業によっては成果報酬型を採用するケースもあります。
なお、インターン生が労働者とみなされる場合(「企業とインターン生との間に指揮命令関係があった」もしくは「インターン生が携わった作業が企業に利益・効果をもたらした」)は、最低賃金法や労働基準法などが適用されるので、その範疇で設定する必要があります。
交通費、宿泊費、その他経費
その他にも「交通費」「宿泊費」その他さまざまな経費がインターンシップでは費用として発生する可能性があります。
資材を購入するかは企業によって変化します。当サイト編集部でもリサーチをしてみましたが、インターンシップにかかった費用内訳について公開されている情報は見つかりませんでした。明確な金額については出しづらいのが現状です。
そのため、交通費や宿泊費についても企業によって出すか出さないか、どの程度負担するかは企業の予算に応じて決定してください。ただし、一般的に交通費などを支給してくれるインターンシップの方が人気が高くなる傾向があるため、コスト削減のやりすぎには要注意です。
インターンシップの費用を抑えるためにできること
費用対効果を考えると、インターンシップにかかる費用は少しでも抑えたいところです。そこで、インターンシップの費用を抑えるためにできることについて解説します。
広告求人費を見直す
一番わかりやすいコストとなるのが、求人広告などの「広告求人費」です。
前述の通り、広告求人費は数十万円と、インターンシップ実施費用の内訳の多くを占めます。
広告求人費を抑えるためには、求人媒体を見直してみましょう。費用が高額な求人媒体を利用していては、どうしたって採用コストが高くなることは避けられません。
例えば「SNS」を活用するという方法があります。SNSを通じて日頃から学生にアプローチすることで、他社の求人媒体を利用しなくても学生に対してインターンシップの情報を提供することが可能です。SNS運用には、求人媒体を利用するほど高額なコストはかかりませんが、担当を継続的に付ける必要があります。
その他にも、学生との接点を確保できるプラットフォームを活用するという方法もおすすめです。ガクセイ協賛では、学生のインターンシップやアルバイト、社員採用のお手伝いも行っています。求人費用を抑えた採用支援に興味がある方は、お気軽にご相談ください。
インターンシップ助成金制度を利用する
インターンシップにかかる費用負担を実質的に抑えるためには「助成金制度」を利用するという方法もあります。
企業がある自治体や、加盟している業界団体によっては、インターンシップの実施について助成金を支給する制度を設けているところがあります。助成制度を実施している自治体や業界団体により助成金の規模は異なりますが、インターンシップに参加する学生1人につき数千円、1回のインターンシップに関して10万円程度を上限としての補助を行ってくれることがあります。
実施費用の一部が助成されることにより、実質的な費用負担を抑えつつインターンシップを実施することができます。会社の所在地や加盟している業界団体によって助成制度の有無や規模は異なりますが、自社で利用できる助成制度があれば可能な限り利用して、費用負担を抑えてインターンシップを実施しましょう。
学生の給料を見直す?
慎重に検討をしなくてはいけない方法ではありますが「学生の給与を見直す」という方法もあります。
就業体験を目的とした実業務と関係のないプログラムの場合は無給とし、企業の生産活動に関与している場合は有給とするのが、インターンシップでの有給無給の境界線となります。この基本原則を守りつつ、有給の場合の学生に支払われる給与を抑えれば、インターンシップの費用負担を抑えることになるでしょう。
ただし、有給のインターンを受ける学生の扱いは「労働者」であるという点に注意してください。つまり給料を支払ってインターンシップに参加させている以上、学生には「労働基準法が適用される」ということになります。賃金ゼロや給与の引き下げは、場合によっては労働基準法に違反する可能性があるので注意が必要です。
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